私は東京在住の28歳(当時)、子どもの頃から強い近視に悩まされてきました。普段は眼鏡が手放せず、コンタクトレンズも試しましたが、年々視力が悪化していく中でこれ以上悪くなると受注生産しないと買えなくなるといわれました。(その時のコンタクトレンズの補正が-9.0程でした)そんな中、「眼内コンタクトレンズ」と呼ばれるICL手術の存在を知りました。最近ではICLは安全性と有効性が高く評価され、世界で200万眼以上の症例実績がある視力矯正手術となりつつあり、芸能人やインフルエンサーが受けたことでも話題になっています。裸眼で生活できるようになる魅力に惹かれ、私はICL手術を受けることを真剣に検討し始めました。
ICLとは何か?角膜を削らない視力回復の仕組み
ICL(Implantable Collamer Lens、眼内コンタクトレンズ)とは、その名の通り小さな特殊レンズを目の中に挿入し、視力を矯正する手術です。具体的には、虹彩(茶目)と水晶体の間に薄いレンズを入れてピント調整を行います。角膜を削って視力を矯正する従来のレーシック(LASIK)とは異なり、角膜の形状を変えないためドライアイになりにくく、術後の視力が安定しやすいことが特徴です。レンズは眼内に入れたままですが、必要に応じて取り出すこと(摘出)もできるため、万一合わない場合は元の視力に戻すことも可能な可逆性の高い手術です。
引用元:nike-clinic.jp
ICLレンズを挿入する位置の模式図(虹彩と水晶体の間に薄いレンズを配置)。角膜を削らずに視力を矯正でき、必要ならレンズを取り出して元に戻すことも可能です。
私もICLについて調べ始めた当初は「目の中にレンズを入れるなんて怖い」と感じました。しかしICLは実は1980年代から研究・施術が行われており、レーシックよりも歴史の長い治療法でもあります。現在主流の最新モデルはレンズ中央に小さな孔(あな)の開いた「Hole ICL(EVO+)**」と呼ばれるタイプで、従来必要だった虹彩(茶目)へのレーザー処置が不要となり、白内障や緑内障などの合併症リスクも大きく軽減された安全性の高い設計になっています。レンズ素材にはコラーゲンとポリマーの共重合体である「コラマー(Collamer)」が使われており、生体適合性が非常に高く長期間にわたり眼内で安定することが確認されています。言い換えれば、目に優しい素材でできたレンズを入れることで、角膜を傷つけずに視力を取り戻す仕組みなのです。
ICL手術の安全性と国内外での実績
ICLは私が調べた限り、技術的な安全性においても高い評価を得ていました。欧米をはじめ世界各国で認可・導入されており、例えばヨーロッパでは1997年に安全基準の承認を取得、アメリカでも2005年にFDA承認を受けるなど既に75か国以上で広く使用されています。日本でも2003年から臨床研究が行われ、2010年に厚生労働省によって正式に認可されました。以降、日本国内でもICL手術の症例数は年々増加しており、多くの専門クリニックで施術が可能になっています。私がカウンセリングを受けた東京のクリニックでも「ICLは確立された安全性の高い手術ですが、眼内手術である以上リスクがゼロではないことも理解しておきましょう」と説明を受けました
医師によると、ICLは日本国内で安全に普及させるため認定医制度が導入されており、所定の研修や症例経験を積んだ眼科医のみが手術を行える仕組みになっています。これは患者にとって大きな安心材料でした。また私が不安に感じていた「レンズを一生眼の中に入れておいて大丈夫なのか?」という点についても、ICLのレンズは人間の寿命より長持ちするとされるほど耐久性が高く、将来もし目の病気(例えば白内障)が見つかった際にはレンズを取り出して対応することも可能だと説明を受けました。こうした話を聞き、ICLの技術的な信頼性や長期的な実績に対する不安はだいぶ解消されました。
私が感じたICLのメリット(長所)
実際にカウンセリングを受ける中で、医師からICLのメリットについて詳しく教えてもらいました。私自身が特に魅力に感じたポイントや、一般的に言われているICLの長所をまとめます。
- 裸眼で快適な生活が送れること: 手術によって視力が回復すれば、煩わしいメガネやコンタクトレンズから解放されます。旅行やスポーツの際も紛失や破損を心配せずに済み、災害時でも裸眼で見える安心感があります。私も「朝起きてすぐ時計が見える生活」に憧れていました。
- 視力の回復が早く安定していること: 個人差はありますが、多くの人は手術翌日から数日~1週間程度で裸眼視力が回復するとされています。実際、私も手術翌朝の検診では既に視力が大きく向上していて驚きました。さらにICLは角膜を削らないため術後の視力が長期的に安定しやすく、レーシックのような「近視の戻り」(視力のリバウンド現象)のリスクが低い報告があります。長い目で見ても効果が持続しやすいのは安心できるポイントです。
- 適応範囲が広く強度近視にも対応できること: ICLは矯正できる度数の範囲が広く、特に強度近視(おおむね-6Dを超えるような高度近視)や角膜が薄い人でも手術可能なケースが多いです。レーシックでは断念せざるを得なかった-10D以上の強い近視でも、ICLなら視力矯正ができる可能性があります。私自身、近視の度数が強く角膜も薄めと言われていたため、ICLはまさに理想的な選択肢でした。
- 角膜を削らないので目への負担が少ないこと: レーシックと異なり角膜組織を削らないICL手術では、角膜の構造が保たれる分、術後の見え方の質(コントラスト感や夜間視力)が良好とされます。また角膜の神経を切断しないためドライアイのリスクも低く抑えられます。私もコンタクトでドライアイが悪化した経験があるので、この点は非常に魅力的でした。
- 万が一の場合はレンズを取り出せる安心感: ICLは可逆性の高い手術であり、眼に入れたレンズは必要に応じて摘出できます。例えば将来、視力が変化してレンズ度数が合わなくなった場合や、他の目の病気で手術が必要になった場合には、ICLレンズを取り出して元の状態に戻すことが可能です。この「元に戻せる」という安心感は、不可逆なレーシックにはない大きなメリットだと感じました。
以上のようなメリットを総合すると、ICLは「よりプレミアムな視力矯正手術」とも位置付けられているそうです。実際、カウンセリングを受けた医師も「ICLは非常に満足度の高い手術ですが、良い点ばかりでなくリスクや欠点も理解した上で決めましょう」と強調していました。次に、デメリットについても正しく理解しておきます。
ICLのデメリットと注意すべきポイント
どんな手術にも欠点やリスクは存在します。私がICL手術を決断する前に確認した、ICLの主なデメリットや注意点を挙げてみます。
- 手術費用が高額であること: ICL最大のハードルは費用面かもしれません。後述しますがレーシックより費用が高く、自由診療のため全額自己負担となります。経済的負担は小さくないため、費用に見合う価値が自分にあるか慎重に判断する必要があります。
- 手術までに待機時間が必要なこと: ICL用のレンズは一人ひとりの眼の度数や眼球の大きさに合わせてオーダーメイドするケースが多く、在庫がない場合は海外から取り寄せるため手術まで数週間~数ヶ月待つことがあります。私の場合も適応検査の結果、レンズ発注から手術まで約1ヶ月半待ちました。この期間もどかしく感じましたが、それだけ精密に準備が必要ということです。
- 術後にハロー・グレアが生じる可能性: 手術後、特に夜間にライトがにじんで見えたりまぶしく感じたりするハロー・グレア現象が起こる場合があります。私も手術直後の夜は街灯や車のライトがぼんやり滲むのを感じました。ただし多くの場合、数週間から数ヶ月で脳が順応し気にならなくなるそうです。実際、私も1ヶ月ほどでほとんど気にならないレベルまで改善しました。
- 眼内手術特有のリスク(合併症)があること: ICLは目の内部に器具を入れる手術である以上、わずかですが眼内炎(目の中の感染症)や白内障・緑内障の発症といったリスクがゼロではありません。確率は非常に低いものの、万一感染症が起これば最悪失明に至る可能性もあるため、手術は無菌環境で慎重に行われます。また術後も定期検診を受け、違和感があればすぐ受診するなど経過観察が重要です。私も術後しばらくは指定された点眼薬をきちんとさし、1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後の検診を受けました。
- 老眼を治療できないこと: ICLは近視・遠視・乱視といった屈折異常を矯正する手術であり、老眼(加齢によるピント調節力の衰え)には効果がありません。一般的に45歳前後から老眼の症状が出てくるため、20~30代の若い世代には関係ありませんが、将来的にはICLで遠くが見えていても手元を見るために老眼鏡が必要になる可能性があります。医師からも「ICLの適応年齢は原則21歳以上で上限は定められていないものの、老眼のことを考慮すると45歳くらいまでに受けるのが望ましい」との説明がありました。私自身まだ30代手前ですので老眼の心配は先ですが、この点も長期的な視野で理解しておきました。
以上がICL手術の主なデメリットです。メリットと比べると心配になる点もありますが、私は「正しい知識を持って慎重に検討すれば大丈夫」と感じました。実際、カウンセリングの段階で不安に思っていたことは医師が一つひとつ丁寧に説明してくれ、リスクを最小限にする対策もしっかり講じられていると分かったからです。それでも不安が完全になくなったわけではありませんでしたが、最終的にはメリットが自分にとって大きいと判断し、手術を受ける決心を固めました。
気になる手術費用:東京での相場と保険適用について
ICL手術を語る上で避けて通れないのが費用の問題です。私も一番最初に「お金がどのくらいかかるのだろう?」と気になりましたので、東京のクリニックを中心に費用相場を調べたりカウンセリングで質問した内容を共有します。
まず料金相場ですが、ICL手術は両眼で約45万円~80万円程度とクリニックによって差があるようです。私が相談した複数の都内クリニックでも、「度数や乱視の有無によって多少変わるが、だいたいトータルで50~70万円くらい」と案内されました。乱視用のトーリックICLレンズを用いる場合はレンズ代が更に高額になるため追加料金が発生するケースも多いとのことです。クリニックによっては術前検査代やアフターケア代を別途請求するところもありますが、一方で手術費用に術後一定期間の検診料や薬代まで含めているところもあります。そのため単純な金額だけでなく、何が含まれているかを事前によく確認することが大切だと感じました。
次に保険適用についてですが、ICL手術は美容目的の視力矯正と見做されるため公的健康保険は適用されません。いわゆる自由診療扱いとなり、費用は全額自己負担です。私のような会社員だと高額医療費制度(一定額以上の医療費が戻る制度)は使えないので注意が必要ですが、その代わり医療費控除の対象にはなります。一年間で自己負担医療費が合計10万円を超える場合、確定申告することで一部が所得控除され税金の還付を受けられる制度です。ICL手術費用はこの医療費控除の条件を満たすことが多いので、私は手術を受けた年の確定申告で忘れず申請しようと思っています。
高額な費用面は最後まで悩みましたが、「これから先ずっとメガネやコンタクトにかかる手間や費用を考えれば、長期的には価値がある投資かもしれない」と考えて踏み切りました。クリニックによっては医療ローン(分割払い)の相談に乗ってくれるところもあるので、一度に大金を用意するのが難しい場合はそうした制度を利用することもできます。私の受けたクリニックでも36回までの分割払いプランが用意されており、経済的な不安はかなり和らいだのを覚えています。
カウンセリング体験:不安と疑問が解消されたプロセス
実際にICL手術を受けると決める前に、私は都内のある眼科クリニックで適応検査とカウンセリングを受けました。予約当日、まず行われたのは詳しい目の検査です。視力や度数はもちろん、角膜の厚みや眼球の形状、瞳孔の大きさ、目の中の房水の流れ具合など多岐にわたる検査が行われました。中には目薬で瞳孔を開く検査もあり、一時的に目がぼやけて数時間はスマホも見づらい状態になりましたが、安全に手術できるかどうかを判断する重要なステップとのことで納得です。
検査の結果、幸い私はICL手術の適応ありと判断されました。医師によれば「ICLは原則20歳以上で視力が安定しており、重篤な眼疾患がなければ45歳くらいまで幅広く検討できる」とのことでした。私の場合、近視の度数は-8D程度で乱視も軽度、角膜の厚みはレーシックも可能なレベルでしたが強度近視ゆえの将来的な安定性を考えICLのほうが適しているとの見解でした。こうして適応OKとわかると具体的な説明に移ります。
カウンセリングでは前述のメリット・デメリットについて改めて詳しく説明があり、自分でも事前に調べていたので概ね理解できましたが、プロから直接話を聞くことでより現実味が増しました。特に私は「手術中に痛みはあるのか?」という点が心配でしたが、先生は「点眼麻酔(目薬の麻酔)をするので痛みはほとんど感じません。まぶたを開く器具の違和感と、レンズを挿入するときに多少圧力を感じるくらいですよ」と教えてくれました。実際、痛みに弱い私でも耐えられるレベルとのことで少し安心しました。また「手術時間は片眼わずか10分程度で日帰り可能」ですぐ日常生活に戻れること、当日は念のため付き添いがいたほうが望ましいことなど具体的な流れも伺い、だんだんと自分の中で手術へのイメージがクリアになっていきました。
費用面についてもこの場で詳細な見積もり説明がありました。私の場合、乱視用レンズではなかったため両眼で約60万円(適応検査や術後1年分の検診費用込み)という提示でした。高額ではありますが、手術の効果やアフターケア体制についてもしっかり説明を受け、「ここに任せてみよう」という気持ちが固まりました。医師からも「焦って決める必要はありません。一度家に帰ってゆっくり考えてください」と言っていただき、資料をもらって帰宅。家族にも相談し、数日悩みましたが最終的には「今が決断のとき!」と思い直し、手術の予約を取ることにしました。
手術当日~術後の経過:裸眼の世界とのご対面
そして迎えた手術当日。正直、手術室に入る瞬間まで緊張で心臓が高鳴っていました。クリニックで簡単な問診と術前チェックを終え、いよいよ手術室へ。私は普段コンタクトを装用していなかったので特別な準備は不要でしたが、ソフトコンタクト使用者は事前に1~2週間の装用中止が必要だそうです。
手術台に横になり点眼麻酔が開始されると、数分で目の感覚が鈍くなっていくのがわかりました。まぶたは開瞼器で固定され、まばたきはできませんが痛みはありません。手術中は視界がぼんやりと明るく光っている程度で、具体的な器具は見えませんでした。医師の「はい、レンズ入れますよ~」という声に続いてわずかに目の中に圧迫感を感じましたが、言われていた通り痛みはまったく感じず、「もう入ったのかな?」と思うほどあっという間でした。片眼ずつ同様の処置を行い、両目でトータル20分もかからなかったと思います。
手術直後は視界が少し白く霞んでいましたが、自力で歩いて回復室へ移動できる状態でした。30分ほど休んだ後、簡単な術後検査をして問題ないことを確認し、その日は遮光用のサングラスをかけて家族とタクシーで帰宅しました。麻酔が切れてからも痛みはほとんどなく、違和感も軽微でした。ただし当日は処方された抗生剤と消炎剤の目薬を数時間おきに点眼し、なるべく安静に過ごしました。
翌日、クリニックで術後1日目の検診を受けました。視力を測ると裸眼で両目とも1.2以上を指しており、矯正前の0.1以下から劇的に改善していて感動しました。「こんなによく見えるなんて!」と診察室の視力表がくっきり見えたときは思わず笑みがこぼれました。医師からも経過良好と言われ、順調なら1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後…と定期検査を受ければOKとのことでした。
術後数日間は、夜に車のライトが滲んで見えるハロー現象を感じたり、極度に目を酷使するとわずかにぼやけを感じることもありました。しかしいずれも時間とともに落ち着き、2週間後の時点では日常生活でほとんど気になることはなくなりました。仕事でパソコン作業をする際も、術前によく感じていたコンタクトの乾燥感がなくなり快適です。ドライアイ気味だった目も、角膜を傷つけていないおかげか以前より調子が良いと感じます。手術前は「本当にやって大丈夫かな…」と不安もありましたが、今では裸眼で生活できる喜びを日々実感しています。
体験を終えて:ICL手術を受けるか迷っている方へ
以上が、私のICL手術体験を踏まえたお話です。振り返ってみて感じるのは、ICL手術は確かに画期的でメリットの多い視力矯正法ですが、その分費用負担も大きく、手術ですからリスクもゼロではないということです。実際に受けてみて得られた裸眼の快適さは何物にも代え難く、私は「やって良かった!」と心から思っています。しかし同時に、「誰にでも絶対勧められる」と安易に考えるべきではないとも思います。
ICL手術を検討する際には、ぜひ信頼できる眼科医やクリニックで十分なカウンセリングを受けてください。メリットとデメリットを正しく理解し、自分の目の状態やライフスタイル、将来のことまで含めて総合的に判断することが大切です。手術を受けるかどうかは必ず医師と相談のうえで決めるようにしましょう。
20代後半という若い世代にとって、これから先の長い人生を裸眼で過ごせる可能性が開けるICL手術はとても魅力的です。私も勇気を出して一歩踏み出したことで、毎朝目が覚めた瞬間からクリアに世界が見える感動を手に入れました。もし同じように悩んでいる方がいたら、私の体験談が何かの参考になれば幸いです。焦らずに情報収集をし、自分にとってベストな選択をしてくださいね。ぜひ一度、専門クリニックで相談してみてはいかがでしょうか。あなたの視界にも、明るい未来が開けることを願っています。
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